正しい歴史観?~その2「底辺からの視座」

 

 戦後、歴史学を発展させていった林屋辰三郎先生は「地方史」「女性史」「部落史」の研究の重要性をいっておられました。先生は芸能史という視点も大事に研究をされ、「芸能史研究会」を作られたりしました。
また、恩師である北山茂夫先生は戦前、筑前の国戸籍残簡より戸籍の復元を試み、そこから農民の浮浪、逃亡の実態を明らかにし、そのことが律令体制を揺るがし次の時代への転換を、つまり荘園制への移行をすすめていったと話されていました。歴史のダイナミズムを感じたものです。
私はこれらの先生から、底辺の視座と言いますか、中心から外れたところから歴史を見ることの大切さを教わりました。
戦後の歴史学はこのように何物にもとらわれず、自由に様々な角度から事象をとらまえ、連綿と続く時代の流れを複合的に分析していくようになったのです。このことを忘れてはならないと思います。
 自分の今立っている位置がどのような歴史の歩みの中で作られてきたのか、それを知ることは次の道を見出す道しるべになるでしょう。したがって、私たちの先祖が歩んできた歩みの中で素晴らしかったことも、負の部分も丸ごとしっかり見ていかないと未来への道しるべにはなりません。負の部分を見ることは先人からの重要で貴重なメッセージを受け取ることでもあるのです。(続)

文責 中野 謹矢

 

2022年09月08日