環境月間にあたって、これまで私達共生学舎での取り組みについて紹介していますが、大きなウェイトを占めるのが管理エリアの半分を占める竹林の整備です。
近年、日本では竹が里山の森林地帯に広がり、広葉樹の森林が竹林に変わってしまうという現象が散見されるようになってきました。日本で生育している代表的な竹は〝孟宗竹〟ですが、地下茎を伸ばし新たな竹を生み出します。この地下茎を伸ばすエネルギーは既に大きくなった竹から送られてきて竹の芽を伸ばしますが、これが食用となる筍です。
共生学舎では毎年、イベントを開催して筍を収穫していますが、繁殖のスピードには追いつきません。竹は1か月間に10メートル位の高さに成長するため、竹が伸びすぎて太陽の光が入らなくなり、他の樹木は成長できなくなってしまいます。とりわけナラや橡(くぬぎ)といった広葉樹が根を張ることで保たれていた山の保水力が低下してきています。また、竹は5~6年で成長が止まり、10年くらいで枯れて倒れてしまいますが、厄介なのは、これらが折り重なり竹クズの山となり、竹林内を自由に動き回ることもできなくなってしまいます。
甲子園球場の半分くらいの広さの竹林は生活道路に面していますが、風雨で倒れると道を塞いでしまうことになるため、絶えず注意深く見守っておくことが必要です。このように、竹林の保全にあたっては年間の活動計画を立て、筍イベントの開催、若竹の間引き、施肥、枯れ竹の処理・焼却等を順次実施しています。
また、竹の伐採等の作業にあたっては、チェーンソウ等の使用が必要になるため安全管理も重要なポイントになります。
(文責 中尾直史)