家庭での餅づくり

日本には〝ハレ〟と言われる日があるのをご存知でしょうか。このハレの日というのはお正月、お盆、節句、七五三、成人式、神社の祭礼等の行事の他、結婚や人生の節目である還暦、古希、喜寿、米寿等のお祝い事の日という特別な日を指します。
そして、このハレの日には「赤飯、お餅、お酒、尾頭付きの鯛等の特別な料理」や季節の行事食として「お節料理、雑煮、七草粥、おはぎ、牡丹餅等の料理」を食べる習慣になっていました。このようにハレの日は日常とは異なり、ご馳走を食べることのできる特別な日であり、以前の日本人にとっては楽しみのひとつでした。
一方、ハレの日以外の日常生活は〝ケ〟と呼ばれており、庶民の一般的な食事はご飯に味噌汁、漬物といった「一汁一菜」でした。とりわけ農村では白米ではなく麦や稗などの雑穀や大根、芋などを混ぜて食べていました。
 その後、日本は急速な経済発展を遂げ、食生活も豊かになり、ハレの日以外でもご馳走が食べられるようになってきたため、ハレやケという言葉は死語になりつつあります。
近年はお正月以外に餅を食べることはほとんどなくなってしまいましたが、餅はお節料理や雑煮と共にお正月というハレの日の食卓に欠かせないものです。
共生学舎では一足早く12月の初旬に石臼と杵を使って餅つきを行いましたが、最近は一般家庭において餅つきをする姿はほとんど見かけなくなってしまいました。年末のこの時期にスーパーやデパート等の食品売り場に行くと、袋詰めにされた色々なタイプの餅が並べられており、鏡餅も毎年使えるような簡易型のものが売られています。
わが家には臼や杵などの道具もありませんので、今年もホームベーカリーで餅を作りました。これは〝つき餅〟ではなくメーカー独自の特殊形状のヘラで練って作る〝ねり餅〟です。
つき餅とねり餅は見た目にはあまり変わらないようですが、お雑煮などに入れると、ねり餅はすぐに溶けるのに対して、つき餅は形が残るという特徴があります。
  (文責 中尾直史)

2024年01月03日