家庭における食育のマナーの習得

 

洋の東西を問わず、西洋料理、中華料理、日本料理等それぞれの国によって食事のマナーは独特のものがありますが、和食のマナーは「箸に始まり箸に終わる」と言われています。
 しかし、最近食の洋風化が進んできたことも一つの原因かも知れませんが、正しく箸を持てない子どもが増えてきているようです。先日、福井県に旅した際、日本一の箸の生産地である小浜市の『箸匠せいわ』に立ち寄り、箸に関する話をお伺いした中で、驚いたのは〝最近正しい箸の持ち方ができる子どもは十人に一人しかいない〟ということでした。
箸の持ち方が間違っていると、小さな食材をうまくはさむことができないため、お皿を口につけて流し込むような食べ方になってしまいますし、当然食べ残しも出てしまいます。また、子ども達の魚ばなれが進んでいますが、この大きな理由の一つが箸を上手に使えないため、骨をとるのが面倒だからというものです。最近、スーパーに行くと、あらかじめ骨を抜いた魚が売られていますし、通販でも骨を抜いていることを強調しています。
 たかが、箸の持ち方ではないかと言われるかも知れませんが、上手に箸を持てない子どもは食事前後の挨拶や後片付け、歯磨きといった生活習慣も身についていないことが多いのです。日本料理ではご飯は端からではなく中央から食べる、汁物は一箸、二箸具を食べてから汁をすする、複数の容器に盛られた料理を順番にバランスよく食べるといった決まりがありますが、このような難しいことはさておいて、箸やお茶碗の持ち方といった基本的な食事のマナーは、是非幼少の頃に家庭で身につけておいて欲しいものです。
(文責 中尾直史)

2023年11月28日