自然界にはゴミがない

皆さんは環境に関して「3R」という言葉を耳にされたことがあると思います。これはReduce Recycle Reuse の頭文字をとったものです。
一つ目のReduceというのはゴミを出さない、 二つ目のRecycleというのは資源を再利用する、 三つ目のReuseというのは再資源化するというものです。日本では一人当たり1日で約1キロのゴミを排出しているということを紹介しましたが、この3つの中で最も大切なのはReduceです。毎日、生活しているとたくさんのゴミが出ます。これらのゴミが散乱するのを防ぐために、学校や駅、公園をはじめとする公共施設にはゴミ箱が設置され、定期的に回収され、これらのゴミを処理するために多くのエネルギーが使われています。
しかし、この地球上で自分達が出したゴミを処理しているのは人間だけで、人間以外の生き物にとってはゴミがありません。分かりやすい例を挙げると、アフリカの草原にはライオンが生息しており、シマウマなどの草食動物の肉を食べています。残ったシマウマの骨や皮はどうなるでしょうか。これらは最後には土に返っていきます。また、ライオンやシマウマは糞をしますが、糞ころがしという名前の昆虫やバクテリアによって分解されます。植物も葉を落としますが、団子虫やミミズ等は落ち葉や枯れ草を食べ物にしており、これらも土になります。
また、植物は太陽の光と二酸化炭素を使って、葉っぱで光合成を行ない、栄養を作りますが、この時植物のゴミとして酸素が出ます。この地球上に最初の生物が誕生したのは35億年前だと言われていますが、それからすべての生物はゴミを出し続けているのです。このように考えると、〝生きる〟ということはゴミを出し続けることなのです。
しかし、ある生き物にとって要らないもの(ゴミ)は別の生き物の栄養になるという循環が形成されているため自然界にはゴミという概念がありません。自分達のゴミを自分達で集め、処理しているのは人間だけということになります。
 地球環境を守るためには、まず、ゴミを出さないということを心がけていく、次いでゴミの再利用と再資源化を図っていくことが大切です。
(文責 中尾直史)

2023年04月25日