世界における深刻な水不足

地球は大量の水に覆われており、水の惑星と言われていますが、この水の97.5%は海水で真水は2.5%に過ぎず、このうち生活用に利用できる水はわずか0.008%しかないのです。分かりやすいように地球上の水をバケツ一杯に例えると、人間が使える水の量は小さじ一杯程度しかないということになります。
今、世界各地で砂漠化が急速に進行し、世界中で河川の姿が消えつつあります。代表的な例を挙げると、隣国の中国では三大河川の一つと言われていた長江の水位が低下し、電力不足による工場の稼働が停止。ドイツとオランダ、スイス経済の柱であるライン川やドナウ川では船舶の運航が困難な状態になり、化学製品や燃料、食料品や他の商品の世界的な物流が停滞。米国ではデンバーからロサンゼルスに至る地域住民4000万人の水源であるコロラド川の渇水により、アリゾナ州やネバダ州などで厳しい取水制限がなされ、農業用の潅漑用水が不足し、農作物に深刻な影響を与えています。この他、ルーマニア、オランダ、スペイン、ハンガリー、イタリア、ドイツ、イギリス、トルコ、等世界各地で深刻な水不足が生じてきています。
また、世界各地で水が不足することにより土地の荒廃が進み、これまで木に蓄えられていた水がなくなることで農作物が育たない環境に繋がり、これらが更なる砂漠化を生み出すことになってきています。
これらの水の問題も加速する気候変動と密接な関係があり、水路を失うことは航路や農業、エネルギー供給、さらには飲料水にまで及ぶ深刻な経済的損失を受けることになります。
日本は水が豊富にあり、水については何の心配もないと思われがちですが、それは大きな間違いであるということを前回紹介しました。
これからも水についての関心を深めていただきたいと思っています。
(文責 中尾直史)

2023年04月05日