これまで人口爆発によって生活に必要な食料や水、エネルギーをはじめとする生活物資が不足する可能性があることを指摘しました。これらは日本にとっても看過できない問題ですが、食料やエネルギー等の生活物資に比べ水についての関心は薄いのではないかと思います。しかし、水の重要性についての理解を深めていただくために今後何回かにわたって取り上げていきたいと思います。
水は地球上のあらゆる生物にとって欠かすことができない大切なものであり、私達の日々の暮らしや農業、工業等の産業活動を支える重要な資源です。しかし、今、世界の人口が急増する一方で、地球温暖化による気候変動によって世界中で水不足が深刻な状況になってきています。
日本は世界でも有数の多雨地域にあるため、年間の降水量は世界平均の約2倍あります。そのため、水は豊富にあると思われがちですが、1人当たりでは半分以下、しかも国土が狭いため降った雨は短時間で海に流失します。しかも水がめとなる大きな湖も少なく、中長期的に見れば渇水のリスクが高まってきています。また、河川や湖沼の水質悪化といった問題も起こってきています。
更に、日本人が心に留めておかなければならないのは、〝日本は水の輸入国〟ということです。何故なら、カロリーベースでは、実に61%の食料を海外から輸入していますが、小麦やトウモロコシ、大豆、牛肉等には生産国での大量の水が使用されているからです。これらを生産するためにどれ位の水が必要なのかについては、後日紹介したいと思います。
(文責 中尾直史)