日本の食料事情

 


 戦後の食料不足の時代を経て、順調に経済発展を遂げてきた日本では世界の多くの国から食料品の輸入を拡大してきました。食料品の物価は比較的安定してきており、スーパーやデパートの食品売り場に行くと欲しいものはほとんど手に入るという状況が続いてきました。そのため大半の日本人は食に対する危機感が薄れてきているように感じます。
しかし、最近食を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。小麦粉、パン、即席麺、食用油、レトルト食品、缶詰、チーズ、ビール、飲料等の食品の値上げが相次いで発表され、これまで低価格で人気のあった外食産業でも販売価格を維持できず、値上げに踏み切る企業が増えてきています。
これには様々な要因がありますが、急激な円安による輸入食料価格の上昇、ロシアのウクライナ侵攻による小麦やトウモロコシ等の国際価格の高騰、エネルギーコストの上昇に伴う輸送費の増大、世界的な異常気象による様々な農産物の不作等があげられます。更に、国内産のタマネギやジャガイモも生育不良のため価格が上昇してきています。
このため「食料品の価格が上がって家計が苦しい。政治の力で何とかして欲しい。」という声が出てくるのは当然ですが、この機会に国民一人ひとりが生きていく上で不可欠な食の現状についてしっかりと認識しておくことが大切であると思っています。
(文責 中尾 直史)

2022年05月29日