自然界では絶えず競争が繰り返されており、生物同士の争いに破れて滅びた種もたくさんいます。そして、一つの種が絶滅するとこれを食料にしていた種も絶滅することになるため〝絶滅の連鎖〟が起こることになります。
しかし、これまで自然界ではさまざまな生物が増減を繰り返しながらバランスを保ち、独自の生態系を維持してきました。
例えば、干ばつで草木が枯れる⇒これらを餌にしていた草食動物が減少する⇒これらを餌にしていた肉食動物が減少する⇒やがて草木が復活すると草食動物も肉食動物も増加する。
また、プランクトンや小さな昆虫が減少する⇒タニシやドジョウが減少する⇒これらを餌にしていた鳥類が減少する⇒やがてプランクトンや小さな昆虫が復活するとタニシやドジョウも鳥類も増加する。等といった自然の循環が行われきたのです。
それでは、どうして近年驚くべき勢いで生物の絶滅が加速されるような状況になってきたのでしょうか。この答えとして挙げられるのは、今問題になっている絶滅はこれまでの自然界で起こっていた絶滅とは根本的に異なっており、私達人間の行動が深くかかわっているということなのです。
100年前までの絶滅の主な理由も人間による乱獲でしたが、今は温暖化をはじめとする環境の破壊によるものが大きな原因になっています。世界の人口が急増し、それぞれがより便利で快適な生活を追求するようになり、衣・食・住にかかるエネルギーの消費量は増大してきています。この結果、生物の住むエリアの環境が激変し、生息できない状況が出てきているのです。生態系が崩壊すると多くの生物が絶滅することは避けられません。今、人間は自然界から生存するための食料の恩恵を受けていますが、これらが枯渇すれば他の生物と同様絶滅することになるのです。
地球上の多くの国が持続可能な社会の実現を目指し、地球環境を守るという取り組みに着手し始めていますが、一人ひとりの人間がこの意識を持って行動することが何よりも大切ではないかと思っています。 (文責 中尾直史)