加速する生物の絶滅Ⅰ

 

 今、世界中で多くの生物が絶滅の危機に遭遇しています。この原因としては①人間が大量に殺した②これまでいなかった他の種類の生き物が入ってきた③住む場所の環境が激変した等があげられますが、ほとんどが人為的なものです。
地球が誕生して46億年、生物が現れてから38億年になりますが、これまでに全生物種の大半が絶滅するという「大絶滅期」を何回か経験してきています。このうちの代表的なものは今から約6,500万年前(白亜期)に起きた恐竜の絶滅です。この時には巨大隕石の衝突によって、地球上の全生物の約75%が絶滅したと言われています。ところが、近年この「大絶滅」をはるかに上回るスピードで種の絶滅が発生しているのです。
恐竜時代以降の1年間に絶滅した種の数を調べてみると、次のようになります。
◇恐竜時代は0.001種(1000年に1種)
◇1万年前には0.01種(100年に1種)
◇1000年前には0.1種(10年に1種)
◇100年前には400種(1年間に1種)
このように絶滅のスピードはますます加速されてきており、驚くべきことに現在では1日に約100種が絶滅していると言われています。これは1年間で実に約4万種が地球上から姿を消しているということになります。言い換えると種の絶滅はこの100年で約4万倍以上のスピードになっているのです。
そして、なお絶滅のスピードは加速を続け、このままでは25~30年後には地球上の全生物の4分の1が失われてしまうという計算になります。「種」というのは生物分類の基本的単位のことで、この「種」が絶滅するということは、〝その種類の生き物がこの地球上から完全にいなくなる〟ということを意味しているのです。  ≪続く≫
(文責 中尾直史)

2023年01月22日