我が国を取り巻く食料事情

 最近、スーパーの食品売り場に行くと生活必需品である野菜や果物、魚介類、肉類、パン、バター、卵、油脂等の価格が軒並み上昇しています。ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響で輸入品が値上がりするのは理解できますが、どうして国産の卵や牛・豚・鶏肉、魚、野菜が値上がりするのか疑問に思われる人も多いのではないかと思います。
その理由は餌になるトウモロコシや大豆、肥料、燃料となる石油の大半を輸入しているため、これらの価格が反映されるからです。わが国の食料自給率は先進国中でも最低レベルの38パーセントであるということを前述しましたが、厳密には更に低いレベルになっているのです。
これらに加えて、地球環境の悪化に伴う食料事情の変化にも注目しておく必要があります。直近の100年で世界人口は急増し78億人を突破、発展途上国や紛争地域を中心に飢餓人口も8億人になっています。そして、近年農作物を増産するための森林の開墾が行われ、温暖化ガスの排出も増加し続けています。この結果、地球の環境が悪化し生態系の崩壊といった現象も出てきています。とりわけ貴重なたんぱく源となる魚介類については乱獲も加わり資源の減少が相次いでいます。そして、これらの状況は今後も継続することが考えられます。
今一度、わが国を取り巻く食料事情についての認識を深めておきたいものです。
(文責 中尾直史)

2023年01月21日