注目が集まるトレーサビリティ

 皆さんはトレーサビリティという言葉を耳にされたことがあると思います。
これは直訳すると「追跡可能性」という意味で、最近、食品業界をはじめ医療品業界や製造業に至るまで幅広い分野で急速に導入が始まってきています。
メーカーや生産者の立場に立つと製品や食材の不具合が見つかった場合、それがどのような経路で市場に出回っているかを特定できます。よく不純物が混入したとか、材料が痛んでいたとか、梱包が十分でなかったとかといった様々な問題に対し、遡って追跡することによって原因となった工程やロットを特定することが可能となり、問題となった対象商品を的確に回収することができます。また、バーコードに代わるICチップと組み合わせることにより、在庫管理や品質管理にも活用できます。
このようにトレーサビリティは現在メーカーや生産者にとって有効な取り組みですが、将来的には消費者にとっても大きなメリットが得られるようになると考えられます。
現状は野菜や果物などの生鮮食料品や加工食品については、輸入先の国や国内の都道府県についての表示はされています。しかし、生産の過程においてどのような肥料や水、農薬が使われているのか、どのような土地で栽培されているのか、どのような経路で運送され、販売されているのかといったことまでは表示されていませんが、このような情報もすべて小さなICチップに登録できるようになるのです。このような変化にも注目しておいて欲しいものです。
    (文責 中尾直史)


2022年12月24日