餅の歴史

 師走に入り、食育の一環として共生学舎でも子ども達や保護者の参加のもと、餅つきイベントを実施しました。
餅の歴史を紐解くと、稲作と共に東南アジアから伝わり、その食感の良さから瞬く間に全国に広がったようです。私達の幼少の頃には、それぞれの家に杵と臼があり、結婚や七五三、入学、還暦、喜寿、古稀、米寿、棟上げ等何かめでたいことがあると決まって餅つきをしたものです。このように、餅は「晴れの食」として、とっておきのご馳走でした。今でも子供心にも餡や黄粉をつけて食べる餅が楽しみのひとつであったことを覚えています。
しかし、近年は一般家庭においてもお正月以外に餅を食べることはほとんどなくなってしまいました。また、幼稚園や学校、地域での餅つき大会もコロナ禍のため中止になるケースが増えたため、餅つきの経験のない子ども達も増えてきているようです。
今回のイベントでも、つきたての餅を食べましたが、市販されている餅とは違った格別の味です。何故なら、自家製のもち米を8時間から12時間程度水につけておき、その後蒸し器で蒸し、蒸し上がったものから臼に移してつくからです。つまり、餅つきの餅は添加物を一切使っていない〝つき餅〟です。
これに対して、市販されている餅はほとんどが輸入された米粉や米と加工でん粉から作られており、クエン酸が加えられています。また、近年家庭用の小型の「餅つき機」が発売されていますが、これで作る餅は蒸した米をメーカー独自の特殊形状のヘラで練って作る〝ねり餅〟なのです。つき餅とねり餅は見た目にはあまり変わらないようですが、お雑煮などに入れると、ねり餅はすぐにとけるのに対して、つき餅は形が残ります。
師走も半ばになり、スーパーやデパート等の食品売り場に行くと袋詰めにされた色々なタイプの餅が並ぶようになってきました。また、鏡餅も毎年使えるような簡易型のものが売られていますが、お正月には日本伝統のお餅を味わっていただきたいものです。   (文責 中尾直史)

2022年12月19日