マクガバン・レポート追記

 

 前述した「マクガバン・レポート」はアメリカの現代栄養学の基礎となっていますが、これを補足する形で発表されたのが『食物・栄養とガン』に関する栄養特別委員会の中間報告です。そのレポートで特に注目されるのは、「タンパク質(肉)の摂取量が増えると乳ガン、子宮内膜ガン、前立腺ガン、結腸・直腸ガン、膵ガン、胃ガンなどの発生率が高まる恐れがある」として「これまでの西洋風な食事では脂肪とタンパク摂取量との相関関係は非常に高い」と述べています。そのため動物性食品を減らして、できるだけ精製しない穀物や野菜、果物を多く摂ることが推奨されました。
そして、古今東西の世界の食事を調査した結果、最も理想的な食事は〝日本人が元禄以前に食べていた食事〟であると明記されたのです。この元禄以前の食事とは、精白しない穀類を主食とし、副食は季節の野菜や魚介類をといった内容です。こうした背景もあって、アメリカ国内はもとより世界中で日本食ブームが起こりました。
また、マクガバン委員会以降の新しい研究を踏まえ、1983年に農務省長官の諮問機関として創設された「食事ガイドライン委員会」は、その指針のひとつとして、食べる食品の種類を多くという項目も加えて、次のように述べています。
「人間の生存および健康維持のためには40種類以上の栄養素が必要である。つまり、いろいろな種類のビタミン、ミネラル、アミノ酸、必須脂肪酸などがそれである。またエネルギー源としての炭水化物、脂肪、タンパク質も必要である。これらの栄養素はバランスのとれた食事によってとられるものであり、そのためにはいろいろな種類の食品を食べる必要がある。」
 その後、日本においても1日に30品目を摂取することが薦められるようになりましたが、この指針が参考になっているのです。
(文責 中尾直史)

2022年10月10日