幼児期における味覚形成

 

 味覚の形成には、脳の仕組みが深く関係しています。
人間の脳には「古い脳」と「新しい脳」の2つがあり、「古い脳」は呼吸や睡眠などの動物的で本能的な部分を、「新しい脳」は言葉などの理性的な部分を司っています。
人間は、赤ちゃんのうちは「古い脳」をメインに使っていますが、その後3歳頃までに将来「感受性」や「思考力」を育んでいく前提となる「新しい脳」が完成するといわれています。つまり「1歳から3歳」までの幼少期は、長い人生の間で最も脳が発達する時期であることが検証されているのです。
日本の諺に「三つ子の魂百までも」があり、「幼い頃に表れている気質や特徴は歳をとっても変わらない」と言われていますが、人間の味覚の土台も3歳までにほぼ出来上がります。
味覚については生後2~3ヶ月から味に対する好みが出はじめるようですが、幼児期に味が極端に濃いものや人工の甘味料の食べ物ばかりを食べているとうまく味覚が形成されず味覚が鈍ってしまいます。このため3歳までに味覚を身につけることが大切なのです。そうすれば、その後の成長過程においても、濃い味や人工的な味に違和感を覚え、微妙な味の違いを認識できるようになります。
もちろん、3歳以降も「新しい脳」が発達していくため、新たな味を学習していくことは可能ですが、味覚は10歳~15歳ごろまでに終わると言われています。是非、各家庭において幼児期における味覚の土台作りに注力していただきたいものです。
(文責 中尾直史)

2022年08月31日