食糧廃棄の実態

  

食品ロス削減のためのシンボルマーク 「ろすのん」


  世界で生産される食料は年間40億トンですが、このうち約3分の1にあたる13億トンが廃棄されており、経済損失は7500億ドル(98兆円)という膨大な金額になります。
この中身を見ると低所得国と中高所得国では大きな違いがあります。低所得国においては収穫したものの貯蔵、運搬、加工、冷却といった技術面での制約に起因するものが多い反面、日本を含めた中高所得国においては食品事業者や消費者レベルでの廃棄に起因するものの割合が多くなっています。
 我が国の食料廃棄は2019年時点年間で1710万トン、内訳は食品事業者が37パーセント、個人(家庭)が63パーセントです。このうち本来食べられる食品ロスと呼ばれる量が約570万トンとなっており、東京ドーム5杯分にあたります。これは毎日日本人一人当たりお茶碗一杯分のご飯を捨てているということになります。
 このうち食品メーカーや飲食店での廃棄が55パーセント、個人(家庭)が45パーセントです。廃棄量を減らすために政府も削減目標を掲げ、食品関連事業者も様々な取り組みを行っていますが、我々消費者としては家庭における食品ロスの削減をはかるようにしなければなりません。
 具体的には、買いすぎない、作りすぎない、冷蔵庫内を常にチェックする、食べ残しをしない、食材をフル活用するといったこまめな取り組みがあげられます。また、外食をする場合でも注文しすぎないといったことが必要です。
 これらの廃棄された食料はすべて生ゴミになりますが、ほとんどが焼却処理されるため多大のエネルギーが必要になります。考えてみれば食料に関しては生産、運送、廃棄という3つの段階で二酸化炭素を発生させており、環境問題と直結しているのです。更に単純計算すると日本で発生する食料廃棄の量だけで、現在世界中の飢餓で苦しむ人達を救えることになります。
 このような状況を食料難に陥っている国の人達が見ればどのように感じるでしょうか。
今一度、一人ひとりが自らの食について見つめ直していきたいものです。
  (文責 中尾直史)
  

2022年07月11日