日本のエネルギー事情②

東日本大震災による東京電力の福島第一原子力発電所の事故発生から13年が経過しました。この事故は日本のエネルギー政策の基盤を根底から揺さぶることとなりました。
 日本のエネルギーの変遷を見ると、江戸時代までは薪炭、明治維新以降の19世紀は石炭、その後二度の世界大戦を経て1950年頃までは電気の時代となり、大規模発電所の設置や産業界における工場等の設置が行われました。そして、第二次世界大戦後の急速な経済発展を支える電気市場が急成長し、石油需要が増大しましたが、その後、二度にわたるオイルショックを経験することになりました。
これを契機に日本は石油のみに依存する体質からの脱却を目指すことになりました。具体的な取り組みとしては資源エネルギー庁を設置し、〝省エネの促進〟〝石油の備蓄の拡大〟〝原子力導入の推進〟等を行いました。当時の第一次エネルギーの供給構成は95パーセントが石油や石炭等の化石燃料となっており、ほとんど全量を輸入に頼っていました。また、前述したように京都議定書やパリ協定による地球の温暖化に歯止めをかける国際的な取り組みが必要になってきました。そのため温室効果ガスの削減対策として原子力や再生エネルギーの導入が始まりました。
再生エネルギーを活用した発電としては、「太陽光」「風力」「地熱」「バイオマス」等があげられますが、エネルギー資源の乏しい日本にとって温暖化対策の切り札として、注目されてきたのが原子力で、各地に原子力発電所が建設されました。
この結果、原子力発電のウエイトは2010年には10パーセント強まで高まり、エネルギーの自給率は20パーセント超まで回復したのです。このまま順調に推移していけばエネルギー自給率は年々上昇していくはずでした。ところがここで東日本大震災が発生し、エネルギー政策の抜本的な見直しが必要になったのです。
(文責 中尾直史)

 

2024年10月11日