日本のエネルギー事情①

これまで取り上げてきたように、エネルギーに関する問題は地球の温暖化対策の最重点課題に挙げられており、『2050年のカーボンニュートラル』を表明した国・地域は
実に147になりました。日本としても国際公約を果たす責務があります。この一方で、経済を発展させ国民の生活を守っていくためには、エネルギーの安定的な確保が不可欠です。
日本は戦後の目覚ましい経済発展によって、豊かな生活を送ることができるようになりましたが、これが当たり前であると思っている人が大半ではないでしょうか。
そのため、電気やガス、ガソリン等の価格が上がると大騒ぎをする一方で、原発や化石燃料は全廃といった極端な議論が出てきがちですが、現実の問題として日本のエネルギー事情がどうなっているのかについて理解している人は多くないようです。
毎年経済産業省が国会に提出している『エネルギー白書』には、エネルギーをめぐる国内外の状況や日本の取り組みや今後の方針等が記されていますので、国民一人ひとりがこの内容を理解しておくことが必要です。以下要点を上げます。
① 日本のエネルギー自給率はわずか13%。他のOECD(経済開発機構)の38か国中37位
② エネルギーの供給不足や価格高騰がロシアのウクライナ侵攻により加速
③ 今後LPGの争奪戦が激化しオイルショック以降最大の危機が到来
④ 再生エネルギーへの加速による脱炭素化
⑤ 激甚化する自然災害を踏まえたエネルギー供給網の構築等 
東日本大震災により、原発を停止した影響で20%を超えていた自給率は一桁台に落ち込みました。福島復興と共に原子力発電所の再稼働や再生エネルギーの導入等により、ここ数年少しずつ回復基調になってきていますが、安定的なエネルギーの確保には課題が山積しています。
(文責 中尾直史)


2024年10月09日