皆さんはフード・マイレージという言葉を知っていますか?
航空会社には飛行距離を蓄えるマイレージカードがありますが、近年『フード・マイレージ』という言葉が注目を集めています。これは食料の輸入量と輸入相手国との距離を乗じた数字ですが、日本のフード・マイレージは年間9000億トン・キロメートルと世界で最も高く第2・3位の韓国、アメリカの3倍、第4・5位のイギリス、ドイツの5倍という膨大な数値になっています。
このルーツは1990年代に英国のサステインという政府団体が中心となって推進した「フード・マイルズ運動」です。これは「食料を輸送するには多くのエネルギーを消費することになるため、なるべく近い産地の食料を消費することにより環境への負荷を減らそう!」ということで世界中に呼び掛けられました。
端的に言えば日本は多くの食料を遠く離れた国から輸入しているのです。我々が考えなければならないのは、輸送する飛行機や船やトラックは燃料を使用するため、大量のCO2を発生させているという現実です。
日本のフード・マイレージが高い大きな原因は、「食料自給率が低いこと」と「輸送距離が長いこと」の2つです。
昨今、世界規模で食料の争奪戦が起こっており、これまでのように安価な食材を確保することは年々難しくなってきています。日本にとっては今後国を挙げて海外依存度を下げていくことが必要になります。
そのためには一人ひとりが欧米型の食生活を見直し、食料自給率の高い米や魚、野菜中心の食事に切り替えると共に単に値段が安いからという理由で輸入食材を選ぶのではなく国産や地元産の食材を進んで購入していくことが大切です。
輸入食材は輸送の途中で不純物が混入する、鮮度が落ちる、といったデメリットもあります。この際、地産地消や家庭菜園での野菜づくり等、身近なことから行動を起こしていきたいものです。
(文責 中尾 直史)