世界の食糧(料)事情

 


食料と食糧という言葉がありますが、食料という場合は食べるもの全体を指すのに対して、食糧はコメ等の穀物を指します。
世界で最も多く生産されている穀物は小麦とトウモロコシで、これにコメと大麦を加えたものが四大穀物と呼ばれています。現在、穀物の総生産高は27億トン~28億トンで、2000年に比べると1.5倍、1970年と比べるとほぼ2.5倍に増えています。
これだけ生産高が増えていれば穀物が余り、在庫量が増え続けるのではないかと思われますが、現状在庫量は増えていません。この理由は総需要も増え続けているからです。
生産高が総需要に匹敵しているという現状だけを見ると、単純計算上は食糧が不足するということにはならないため問題視されませんが、課題は山積しています。
その最大の理由は発展途上国を中心とした世界人口の急激な増加と経済発展です。2000年に約60億人であった世界の人口は途上国を中心に増え続け、現在は約78億人になっており、今後も増え続けることが確実視されています。
近年、耕作地の拡大や品種改良によって生産量を増やしてきましたが、生産量の増加は鈍化傾向になっています。また、干ばつや高温乾燥といった気候変動による被害が数年間隔で頻発しています。更にこれからは今回のウクライナ紛争に代表されるようなリスクの拡大も予想されます。
食糧の自給ができていない日本にとっては世界の食糧事情について強い関心と危機感を持っておくことが大切であると思っています。
 (文責 中尾 直史)

2022年06月26日