本日は秋分の日で祝日ですが、秋彼岸の中日にあたっています。世界の国々を見ても、さまざまな形で先祖の霊を供養するという風習がありますが、わが国においては、毎年2回3月の春分の日と9月の秋分の日の前後3日間を合わせた一週間をお彼岸として先祖の霊を供養する習慣になっています。この期間には各寺院で彼岸会の法要が行なわれ、お墓参りをする家庭も多いのではないかと思います。
私も休日の混雑を避けるため、早朝に奈良の十輪院に墓参しましたが、既に何人もの方が訪れておられました。
彼岸というのはもともと梵(サンスクリット)語からきた言葉です。正しくは到彼岸(とうひがん・パーラミータ)で、この世を離れて苦しみのない常楽(ねはんじょうらく)な彼岸に到るという意味です。即ち〝生死を繰り返す迷いの世界(生死輪廻・しょうじりんね)〟である此岸(しがん)から、太陽の沈む遙か西方の彼方にある迷いや苦しみのない「悟りの世界」である極楽浄土に思いをはせ礼拝する、ということなのです。
彼岸は秋と春の二回ありますが、仏教の教えとして中道という考え方があり、秋分や春分を含む何日かは、太陽は真東から上がって真西に沈み、昼夜の長さが同じで暑くもなく寒くもないほどほどの気候ということから定められたのではないかと言われています。ただ、近年の気候は〝暑さ、寒さも彼岸まで〟という言葉とはかけ離れた猛暑が続いています。
(文責 中尾 直史)