日本ではお正月と共にお盆は多くの人達が一斉に休むという風習になっていましたが、最近では夏期休暇という色彩が強くなり、混雑を避けるためにあえてお盆の時期を避け7月末から9月初めにかけて交替で休暇をとるというパターンが増えてきたようです。また、この休暇を利用して海外をはじめ旅に出かける人も多いようです。先日、お寺の住職と話す機会がありましたが、最近はお盆や彼岸にも参拝される人も減少してきているとのことでした。
以前、このブログでも日本の家から失われたものとして「仏間」を取り上げましたが、これらの家には仏壇を置く場所もないため、日々のお供えをされていない、お盆に先祖の供養もされていないといったケースも多いようです。このような風潮の中で、本来の先祖に供養するというお盆の意味が急速に薄らいできています。そして、この中で育った子ども達が、大人になって先祖を尊ぶようになるということは考えられません。
日本におけるお盆の行事は、仏教におけるインドの古語であるサンスクリット語のUllambana(ウランバナ・地獄の苦しみを受けている人々を供養する〟)が漢字に音写された盂蘭盆会(うらぼんえ)が略されたもので、これとわが国固有の先祖を崇拝するという心とが融合されて生まれたものです。
我々がこの世に生を受けたということは何代にもわたる先祖の方々の命を受け継いできているということです。このお盆の期間には、家族全員で是非ご先祖を尊ぶという気持ちで過ごしていきたいものです。
(文責 中尾 直史)