戦前と戦後教育の違い

 


  京都大学名誉教授であった歴史学者の会田雄二氏は常々戦後の教育を受けてきた人達が、日本の指導者の立場になる時代になった時が最も心配であると常々警鐘を鳴らしておられたようです。その理由として大きく変わった戦後教育の問題点を指摘されていました。戦後、戦勝国であったアメリカが日本という国に対して考えたのは〝二度と日本がアメリカに刃向かうことのないようにする〟ということであった。端的に言うとそれは日本人を骨抜きにすることであり、日本人としての精神的支柱を取り除くということであった。そのために最重点として行ったのが、戦後の教育に関して「してはならない」という三つのタブーを作るということであった。
これらは➀日本人としての誇りを感じる「歴史教育」をしてはならない ②修身と言われる「道徳教育」をしてはならない ➂人間を超える偉大な存在である神や仏を尊ぶという「宗教教育」をしてはならないというものであり、公立の学校ではこの基本の考え方に立って生徒達に接してきました。
正しい歴史観を持つ、人の道を外さない、神や天が見ているという三つのことは人間としての基本であり、戦前の教育はこの三つをベースとして構成されていました。そして、それぞれの家庭においてもこの教育を受けた両親から指導を受けていました。
そのため〝お天道様に対して恥ずかしいことはするな。〟〝他人の嫌がることはするな。〟〝思いやりや感謝の気持ちを持って行動せよ〟。という言葉は今でも胸に刻み込まれています。民主主義という言葉をはき違え、他人の迷惑を顧みず自分のことしか考えない人間が増えてきているのは残念です。
今一度、学校や家庭、職場等それぞれに人間としてのあるべき姿について見直していきたいものです。
   ≪会田雄次≫ 1916~1997年、
        主な著書 日本の運命、日本人の生き方、アーロン収容所等
 (文責 中尾 直史)
    


2022年05月28日