本日(3月21日)は春分の日で祝日ですが、同時に彼岸の中日にあたります。
彼岸は春と秋の年に2回あり、もう一つは秋分の日を中日とする秋彼岸です。
彼岸と言えば先祖の墓参りをすると思っている人が多いと思いますが、法要の本来の意味は〝生死を繰り返す迷いの世界〟である此岸(しがん)から、太陽の沈むはるか西方の彼方にある〝迷いや苦しみのない極楽浄土〟である彼岸に思いをはせ礼拝するということです。昨年の秋彼岸にあたって紹介しましたが、そのための六つの実践行(修行)が六波羅蜜と言われるものです。
一は布施・・・施しをする(財を施す、真理を教える)
二は持戒・・・戒律を守り反省する
三は忍辱(にんにく)・・・不平不満を言わず苦しみに耐える
四は精進・・・何事も怠らずに励む
五は禅定・・・心静かに乱さない
六は智慧(ちえ)・・・真実の教えに目覚める
この供養というのは仏様の徳を敬う心の基調となるものですが、これらを実践することによって自分の徳が磨かれることになります。このような徳目は本来なら毎日心がけるべきなのですが、日頃はなかなか実行できないため、せめて春と秋、年に2回くらいは実践しようということなのです。また、日本の多くの家の仏壇にはさまざまな仏具が置かれていますが、これらには六つの供養をするためのものなのです
一つ目は「花」で耐え忍ぶ徳、二つ目は「ご飯」で心をしずめる徳、三つ目は「お茶・水」で施しの徳、四つ目は「お灯明」で智恵の徳、五つ目は「お線香」ではげみ(精進)の徳、六つ目は読経の前に手に塗る茶色の粉の「お塗香(おずこう)」で、仏の戒めを守る徳です。
この彼岸というのは他の仏教国にはない日本独自のものですが、今一度日常における自分自身の行動を振り返ってみたいものです。
(文責 中尾直史)