早いもので、あと1日で2月も終了しますが、どうして2月には28日しかないのでしょうか。これまで世界には独自の暦を持つ国もありましたが、今はグレゴリオ暦が現行太陽暦として日本をはじめ各国で用いられており、世界共通の暦になっています。
日本では1872年(明治5年)12月3日に改暦され、この日が明治6年1月1日になりました。この暦はローマ教皇グレゴリウス13世(第226代ローマ教皇)がローマ時代に採用されていたユリウス暦の改良を命じ、1582年10月15日金曜日(グレゴリオ暦)から使われているものです。この暦を見て不思議に思うのはひと月の日数が30日、31日とまちまちで、2月に至っては28日(閏年は29日)ということです。
このユリウス暦の制定者は共和制末期のローマ皇帝であるユリウス・カエサル(英名 ジュリアス・シーザー)です。彼は新年のスタートを2カ月繰り上げて3月とし、7月Quintilisの名称を自分の家門の名前であるJuliusに変更しましたが、これが英語名のJulyの由来です。このユリウス暦は大の月(31日)と小の月(30日)が交互に配置され、最後の月である2月は29日ということになっていました。
その後、紀元前8年にローマ帝国の初代皇帝であったアウグストゥス(オクタヴィアヌス)がユリウス暦の運用を修正すると共に8月の名称を自分の名前Augustusに変更すると共に8月の日数を30日から31日に増やし、そのため不足した日を2月から差し引いたのです。そうすると7月、8月、9月と大の月が3ヵ月続くことになるので9月以降12月までの日数を入れ替えました。
このように暦の制定は統治者の専決事項であり、歴代のローマ皇帝は誕生月に自分の名前をつけようとしたようですが、すべての改名の企ては皇帝の死と共に元の月名に戻り、今残っているのは6月と8月だけになっています。
そして、9、10、11、12月は3月を起算として「9月:Septemberは7番目」、「10月:Octoberは8番目」、「11月:Novemberは9番目」、「12月:Decemberは10番目」を表す呼称になっています。このように、普段何気なく使っている暦にも、実に興味深い内容が含まれているのです。(文責 中尾直史)