恵方巻きのまるかぶり

 日本では古来より長寿や延命を願うことから長いものは縁起がいいと考えられてきました。この恵方巻きを食べる習慣は関西から始まったと言われていますが、関西にはその年の縁起の良い方角(恵方)にある神社や寺に参拝する「恵方詣」の風習があり、節分と恵方との結びつきもあって、この習慣が定着したようです。
しかし、これが全国的に有名になったのは、あるコンビニエンスストアが広島県で節分に太巻きを「恵方巻き」と名付けて販売したことがきっかけで、節分のイベントとして一気に人気に火がつき、全国に広がり国民的な行事になりました。恵方巻きは一本を切らずに黙ってまるごと食べきるのが習わしですが、この理由は包丁で切ると「縁が切れる」ため、一気に食べることで福を巻き込み幸運を呼び込もうということなのです。
わが家でも豆まきの後、今年の恵方(南南東)に向って手作りの恵方巻きをまるかぶりし、鰯を食べ無病息災を祈りました。
 昨今、世界では日本に対する関心が高まっていますが、節分の意味や豆まき、恵方巻きのまるかぶりといった伝統行事の中に込められた日本の文化や精神といったものをしっかりと理解しておきたいものです。(文責中尾直史)

2023年02月04日