グローバル化の進展に伴い、国(地域)の壁、時間の壁が急速に崩れ世界の様々な国の人達との交流が盛んになってきました。言葉や生活様式、宗教、歴史、物の考え方も異なる人達と共生していくためには、相手のことを理解する努力をしていくことが大切ですが、一方で日本人としてのアイデンティティーを持って接していかなければなりません。そのためには世界に誇れる日本や日本人の特質をしっかりと理解し、自分の言葉で自信を持ってPRしていくことが不可欠です。
日本人を語る時には色々な切り口がありますが、一口で言うと日本はみずみずしい稲穂が実る〝瑞穂の国〟です。そのため人の生き方や日本文化は米抜きでは考えることはできず、日本人の民族性や祭り、生活様式、芸術等の多くが米との関係が深いものになっています。
米の特徴は連作が可能であり、生育のためには大量の水が必要であるため、温暖で降水量の多い日本の気候には適していました。この結果、何代にもわたって同じ土地に住むようになりましたが、先祖代々にわたって生活するとその土地に対する強い愛着が生じますし、先祖以来の知り合い、血縁、地縁による強い結びつきを持つようになります。また、開墾や灌漑等は個人労働では無理ですし、田植えや刈り入れ等は集団で行なうことで大きなメリットが得られます。一方、病虫害を発生させると自分だけではなく他人に大きな迷惑をかけることになります。
このように我々日本人は米作りを通じて、和の精神をベースに勤勉性、団結心、協調性、合議、迷惑をかけない意識、気配り、思いやり等を身につけてきたのです。
現在、国際社会においては紛争や混迷が続いていますが、我々日本人が永い年月をかけて培ってきた和の精神に誇りを持ち、世界の平和と発展に尽くしていきたいものです。 (文責 中尾 直史)