干支と動物に関するお話 Ⅰ

 先日、干支の由来について紹介しましたが、十二支である『子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥』を一般に解り易くするために動物が割り振られたのは漢の時代に遡ります。その後、日本では十干を除いた十二支だけが広く取り入れられたため、古来より「えと」=動物というイメージが定着し、破魔矢や年賀状をはじめ色々な物にその年の動物の絵が描かれるようになりました。そして、昔から干支の動物にちなむ様々な迷信や言い伝えが存在し、現代でも占い等に用いられるようになっています。同時に干支の動物の順番についての有名な話が伝わっていますので、紹介します。
 〝昔、神様は動物達に仕事を頼んでもすぐに喧嘩が始まり、体の大きな動物が小さな動物に言うことを聞かせるということで、何とかしなければと考えていました。そこで、ある年の暮れに動物たちを集めて次のように話しました。「来年から毎年リーダーを決め、その指示に従って仕事をしてもらうことにする。リーダーは元旦に神殿へ早く来たものから順番に12人を選び、1年交代でその年を守る動物の王様にしてあげる。」
そして、ネズミだけを呼んで「小さな動物に勇気を与えると共に小さくてもリーダーに従わなければならないことをすべての動物たちに示したい。そのために一番小さなお前を最初のリーダーにしたい。」と言いました。
動物達が身支度を始める中、日を忘れてしまった猫はネズミに尋ねました。すると何としても一番になりたいネズミは1月2日だと嘘を言います。ウシは歩くのが遅いからと言って、皆より一足先に前日から出発しました。その時、ネズミはちゃっかりとウシの背中に飛び乗りました。こうして、ウシは一番乗りで神殿に着きました。やがて、元日の朝日が昇り、神様が門を開きましたが、ウシが門をくぐろうとすると、背中からネズミが“びょん”と飛び降り先に神殿に入ってしまいました。神様はにっこり笑い、1番の番号札を渡しました。こうしてネズミは1番目の干支に、ウシは2番目になりました。≪続く≫
(文責 中尾直史)


2023年01月26日