正月に神様や仏様にお供えしていた鏡餅を下げて、神仏に感謝し無病息災を祈って食べるのが、日本の年中行事の一つである「鏡開き」です。
鏡餅をお正月にお供えするのは、室町時代に武家で行われていた風習ですが、当時はお供えした鏡餅はお正月の終わりに、男は具足、女は鏡台に供え割って食べていたようで、これが鏡開きのはじまりと考えられています。
実際には鏡餅が固くなっているので、餅を割るのですが「割る」という表現は縁起が悪いため末広がりを意味する「開く」という言葉を使うようになったようです。
その後、江戸時代になると鏡餅をお供えする風習が一般庶民にまで広がりました。それまでは1月20日に鏡開きが行われていましたが、この日が三代将軍徳川家光の月命日と重なるため、関東地方での鏡開きは1月11日となり、現在に続いています。
また、鏡餅は、刃物を使って切ると縁起が悪いと言われています。これは鏡餅に宿る神霊が刃物を嫌うからという理由や、刃物を使うことは武士の「切腹」を連想させてしまうためだということです。
なお、パーティーなどで酒樽のふたを木槌で割ってあけ、汲み上げた酒で乾杯するのも「鏡割り」と言われています。
このように鏡開きは年に一度、元日に年神様が各家庭にやってきて宿った鏡餅を開いて食べることで、年神様の力を分けてもらい、一年間の無病息災を願う行事なのです。
雑煮やお汁粉、善哉、かき餅にして食べることが多いようですが、我が家では魔よけの力があると言われる小豆を使って善哉を作り美味しくいただきました。
(文責 中尾直史)