お正月の御節料理の基本は、お屠蘇、祝肴三種、雑煮、煮しめですが、それぞれには日本文化の特徴である縁起や願いが込められています。
◇田作り(たづくり) 田畑の高級肥料としての鰯を使用し豊作を願う
◇数の子(かずのこ) 卵の数が多いということで子孫繁栄を願う
◇黒豆(くろまめ) 黒色には魔よけの力があり、まめ(勤勉)に働く
◇昆布巻(こぶまき) よろこぶという語呂合わせ
◇鯛(たい) めでたいという語呂合わせ
◇海老(えび) 腰の曲がった老人を連想させることから長寿を願う
◇蓮根(れんこん) 穴があいているから見通しが良くなることを願う
◇慈姑(くわい) 大きな芽が出るからめでたいという意味を表す
◇里芋(さといも) 小芋がたくさんつくことから子孫繁栄を願う
◇鰤(ぶり) 出世魚であり出世を願う
◇蒲鉾(かまぼこ) 紅はめでたさと喜びを表し、白は神聖を表す
◇栗(くり)きんとん 黄金色に輝く財宝にたとえて、豊かであることを願う
◇牛蒡(ごぼう) 細く長く地中にしっかり根を張ることを願う 等です。
また、これらの料理はめでたさを重ねるという意味で重箱に詰めますが、日本各地において、重箱は「塗り」や「漆器」「彫り」といった独特の工芸品として発達し、今日に至っています。このように御節料理には日本文化が凝縮されているのです。
(文責 中尾直史