除夜の鐘

大晦日の「みそか」は本来「三十日」と書き、月の三十番目の日ということですが、転じて月の最終日を指すことになりました。晦(つごもり)とは陰暦では十五日に満月となり、月末になると月が見えなくなってしまうため、月隠(つきごもり)が訛ったものです。そして一年の最後のことを「みそか」に「おお」つけて「おおみそか」「おおつごもり」というようになったようです。
 大晦日の夜を一年の日ごよみを除くという意味で除夜と言い、一年を締めくくり、暮れゆく年を惜しむということから色々な行事が行なわれてきています。その代表が除夜の鐘をつくというものですが、この風習は中国の宋の時代に起こり日本には鎌倉時代に伝来したと言われています。鐘をつく回数は108回ですが、これは人間の煩悩の数です。新たな思いで新年を迎えるために、今年一年の自分の行いを改めて振り返り、至らなさや愚かさをしみじみ反省しながら除夜の鐘と共に洗い流すという趣旨です。
私も以前は奈良に住んでいたため、東大寺二月堂で除夜の鐘をついた後、初詣に出かけたものですが、最近はテレビで日本各地の除夜の鐘を鑑賞しながら新年を迎えています。
今、日本は政治、経済、国防、医療、食料、エネルギー、教育等で多くの課題を抱えまさに正念場を迎えていますが、新年にあたり国の総力を結集してこの難局を切り拓いていきたいものです。
(文責 中尾直史)

2023年01月01日