年越しそば

 コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻、北朝鮮のミサイル発射等憂慮すべきことが数多くあった今年も大晦日を迎えることになりました。
この大晦日には暮れゆく年を惜しむという意味で昔から色々な行事が行なわれてきていますが、その代表的なものが年越しそばを食べるという風習です。わが国には古くから続いている食習がありますが、起源や由来がはっきりとしないことが多いのです。
 この年越しそばを食べる風習は、江戸時代中期から始まったと言われていますが、特に商家において月の末日に蕎麦を食べる「三十日蕎麦(みそかそば)」という習慣がありました。これが大晦日のみに残ったものと考えられています。これらの理由を挙げると〝そばは伸ばして細く長く伸びるので、寿命や身代、家運が長く伸びることに繋がる〟〝金細工師が一年の作業を終える時に、そば粉を丸めて散らかった金粉を寄せ集めていたことからお金が集まる〟〝そばは切れやすいので、旧年の苦労や災厄をきれいさっぱり切り捨てる〟〝そばは風雨にあたっても、翌日陽が射すと起き上がるということから捲土重来を期す〟〝家族そろって食べることが多いことから末長く、そばにいたい〟等といった意味が込められているようです。
このように大晦日には日本各地で「年越しそば」を食べるしきたりがありますが、それぞれの地で「つごもりそば」「みそかそば」「暮れそば」「運そば・運気そば」「歳とりそば」「大年そば」「福そば」「寿命そば」「年切りそば」等の違った呼び方があるようです。
私もこの一年を振り返り、来年への思いを込めて年越しそばを美味しくいただきました。
(文責 中尾直史)

2023年01月01日