今年も残り二日になり、朝から一年間の感謝の意を込めて近くの神社に年末詣に行きました。お正月の初詣に備えて鳥居と本殿の前に新しい注連縄が張られていましたが、神聖な場所に渡すことにより内(神域)と外(現実社会)を隔てて、不浄に触れさせないという理由です。
その後、自宅に戻り玄関先に注連縄(しめなわ)を張りました。この注連縄張りの意味は家の中に悪霊を入れず穢(けが)れをぬぐい去り無病息災・家内安全を祈るというものです。また、注連縄は有名な夫婦岩に代表されるように海の岩礁の内、奇岩とされるものなどにも張られていますし、大相撲の横綱が土俵入りの際に締めているのも注連縄です。
また、注連縄と並んで飾られるのが門松です。幼少の頃には竹や松の木を切って門松を作っていましたが、最近はこのような門松はほとんど見受けなくなってしまいました。そして、簡略化されたものがほとんどで紙に印刷されたものになっています。
この門松の由来は平安時代に中国から伝わり、現在の様式が決まったのは室町時代であると言われていますが、本格的な門松には竹の先端が斜めにカットしてある「そぎ」と呼ばれるものがあります。この風習は徳川家康が始めたと伝えられています。家康は戦上手でしたが、生涯唯一の敗北として知られる「三方ヶ原の戦い」(1572年)では武田信玄の騎馬軍団に完膚(かんぷ)なきまでに叩きのめされました。この戦いの後、信玄に対して次は斬るぞという念を込めたのがこのそぎの始まりです。
なお、門松や注連縄を飾るのは29日と31日を避けるのが良いとされています。この理由は、29日は「二重苦」、9の末日ということで「苦待つ」に通じる、また31日は「一日飾り」と言って神をおろそかにするからです。
(文責 中尾直史)