敬老の日を迎えて

 本日、9月19日(月)は「敬老の日」であり、子どもや孫から素敵なプレゼントを受け取った人も多いのではないかと思います。この敬老の日は祝日法では「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し長寿を祝う日」と定義されていますが、このルーツを辿ると興味深いことが分かります。
1948年(昭和23年)にはこどもの日と成人の日が 「国民の祝日に関する法律」に制定されましたが、老人の日は制定されませんでした。
1947年(昭和22年)に兵庫県多可郡野間谷村(現在の多可町)では「お年寄りを敬い、お年寄りの経験と知恵を生かした農村作り」を目的に9月15日を「としよりの日」と定め、敬老会を開いたことが始まりといわれています。その後、兵庫県の各市町村に呼び掛け、1950年(昭和25年)からは兵庫県全体で行われるようになりました。そして、徐々に日本全体に広がり、1954年(昭和29年)には全国的に「としよりの日」として制定されました。
しかし、この呼び名については各方面から異議が出され、1964年(昭和39年)に一旦「敬老の日」という名称に改められました。その後、1966年に国民の祝日法が改正された際に「建国記念の日」や「体育の日」と共に祝日に制定されました。更に2003年(平成15年)からはハッピーマンデー法の導入に伴い「成人の日」「体育の日」と同様の異動祝日(9月の第3月曜日)になり、今日に至っています。
 現在、日本は世界の中でも類を見ないスピードで高齢化が進行し高齢化率は世界一で、満18才未満の子どもの数が満65歳以上の高齢者より少なくなるという少子社会になっています。そして、この傾向は益々進み2050年には3人に1人が65歳以上の高齢者になる見込みです。ともすると現在の生活に対して不満を持ちさまざまな要求をしがちですが、現行の年金や医療等の社会保障制度は平均寿命が満50歳という時代に構築されたものであり、このままでは若い人たちの負担が増大し、これらの人の負担が増加することになってきます。
敬老の日にあたって、高齢者自身が今一度、このような状況を再認識し〝自分が生きているうちは何とかなるだろう〟といった考え方を避けるようにしなければいけないと思っています。
(文責 中尾直史)

2022年09月19日