稲盛和夫氏の思い  その2


このエピソードはトップに立つ人にとっていかに志が大切であるかを教えてくれています。稲盛氏は次のように述懐しておられます。
〝「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」を理念として京セラを経営した。
「動機善なりや、指針なかりしか」と自らに問うた後にDDIを創業した。
更に「世のため人のために尽くすことこそ、人間としての最高の行為である」と信じ、稲盛財団を設立した。このいずれもが、偽りのない自分の心の発露であった〟。
このように、リーダーにとって最も求められているものは“高い志”であるのは間違いありません。稲盛氏に限らず古今東西を問わず卓越した経営者や様々な分野で世の中に貢献されている人は例外なくこういった強い思いを持っておられるように感じます。更に自分のことを中心に行動するのではなく、常に社会のために貢献するという“利他の心”がベースになっています。
しかし、残念なことに、今の日本を見ると自己中心的な考え方や将来のことより目先のことを優先する傾向が多いように感じます。先般も触れましたが、日本の家庭から偉人伝と言われる書物が消えてしまいました。今一度、これまで日本の偉人と言われる人達の生きざまに学ぶという姿勢を取り戻したいものです。
(文責 中尾直史)


2022年09月09日