8月15日(月)、77回目となる終戦記念日を迎えることになり、政府主催の全国戦没者追悼式が東京都千代田区の日本武道館で開かれました。式典では冒頭に岸田首相が式辞を述べ、正午に1分間黙とうを行いました。
続いて、天皇陛下は〝終戦以来77年、人々のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、誠に感慨深いものがあります。私たちは今、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるさまざまな困難に直面していますが、私たち皆が心を一つにし、力を合わせてこの難しい状況を乗り越え、今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います。 ここに、戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から哀悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります〟と述べられました。
厚生労働省によると、〝日中戦争と第二次大戦の戦没者は、軍人・軍属約230万人、民間約80万人の約310万人です。今年はコロナ禍の影響で参列者は約1000人という小規模の開催となり、遺族の高齢化に伴い参列者の世代交代が顕著になりました。この状況を見ても、戦争を全く体験したことのない人が今後ますます増加し、日本人の大半を占めるようになってきます。これは取りも直さず戦争の悲惨さを知る人が年々少なくなってくることを意味します。
また、この戦争では日本を含めたアジアの国々を中心に約1680万人の死者が発生しました。これらの中には、戦争による劣悪な生活環境の下での餓死者や病死者も多数含まれています。
過去の歴史を紐解いても戦争が人々を幸せにすることは絶対にありません。しかし、今、世界ではウクライナをはじめいたるところで紛争が発生し、核を保有する国も増えてきています。仮に核戦争になれば人類が滅亡するばかりでなく、地球そのものが消滅してしまう恐れもあります。終戦記念日にあたって、世界の平和を願い、核廃絶を強く訴えると共に、我々の生活のあり方についても今一度見直していきたいものです。
(文責 中尾直史)