皆さんは「ゆでガエル現象」という言葉を聞かれたことはありますか?
現在の日本の課題は国レベルから地方、企業、個人レベルに至るまで、このゆでガエル現象に陥っていることではないかと思います。言い換えると色々な面での危機感が薄く、なかなか思い切った行動に移せないということです。
カエルは敏感なように見えますが、実はものすごく鈍感な生き物です。カエルにとって一番快適なのは23℃位の温度ですが、この状態ならいつまでも水の中でじっとしています。ところが、このカエルを10℃高い33℃のお湯に入れると驚いてすぐに飛び出します。次には時間をかけて1℃ずつ温度を上げていきます。24℃、25℃と温度が上がり、33℃になってもカエルは飛び出しません。そして、飛び出さなければと思っていながら温度が40℃、50℃になっても飛び出すことが出来ず、最後には“ゆでガエル”になってしまいます。
残念なことに、日本は戦後の苦難期を乗り越え、高度成長を遂げ経済立国としての地歩を築きました。しかし、その後のバブル崩壊以降失われた十年、二十年、三十年と言われるような低迷期が続いています。少子高齢化が進み、ICT化は遅れ、食料・エネルギー・防衛等さまざまな分野において問題が浮き彫りになってきています。
また、個人的にも生活習慣の改善ができず、依存体質からの脱却の努力をなおざりにしている人も多いように思います。このままではまずい、何とかしなければと感じていても、今更自分一人の力ではどうにもならないと諦めてしまっているのではないでしょうか。しかし、すべてを他責にしていてはいつまで経っても問題は解決せず〝ゆでガエル〟になってしまいます。
現状を打破するのは何と言っても一人ひとりの意識改革が必要です。主人公意識を持って自分のできる身近なことから行動を起こしていきたいものです。
(文責 中尾 直史)