先祖の霊の供養

わが国では「祖先を敬い、亡くなった人々を偲ぶ」ということで、ご先祖の霊を供養する習慣があります。我が家でも日々仏壇にお花やお水やご飯をお供えするほか、お盆や春と秋の年2回のお彼岸にはお墓参りをしています。
今年は秋分の日(9月22日)を中日とした前後3日間が秋彼岸(19日~25日)で、天気の回復を待って23日にお墓参りをしました。ところがお参りされている人の姿はまばらで、墓前に供えられている花もあまりにも少ないのを目の当たりにして衝撃を受けました。以前には中日を過ぎるとほとんどのお墓にお花がお供えしてあるのが当たり前でしたが、年々お墓参りをする人が少なくなってきているようです。
これには色々な原因が考えられます。まず少子化によってお墓を守る人が少なくなったことがあげられます。これまでの日本では多くの子どもがいたため、長男が家督を相続することが慣例になっており、〝〇〇家の墓〟として長男がお墓の管理をしてきました。しかし、核家族化が進み生まれ親と同居する人が少なくなってきました。また、故郷から遠く離れたところに居住する人が増え、次第に帰省することができなくなってきたということもあるようです。更に高齢で一人暮らしになったため墓参できなくなったようなケースもあるようです。
以前にもこのブログで取り上げましたが、戦後日本の家で失われたものの一つに仏間があります。そして、仏壇や神棚のない家庭が増えてきています。これらはご先祖の霊を供養する日本ならではの伝統文化であり、現在まで続いている習慣です。
もともと先祖供養の教えは仏教ではなく〝祖霊信仰〟の習慣が仏教と結びついて生まれたと考えられていますが、人間の命は何代にもわたって受け継がれてきていることを再認識し、先祖を敬う気持ちを持ち続けたいものです。
(文責 中尾直史)

2024年09月30日