これまで繰り返し述べてきたように、戦後の公教育の中で日本の歴史や伝統精神、文化、宗教といったものが排除されてきました。また、家庭においても親から子にこれらのことを教えることがないまま今日に至っています。そればかりか、国民の大半が戦後生まれになった現在、日本という国の成り立ちや日本民族の誇り、生き方の手本がないまま暮らしているということになっているのではないかと思います。よく学校で「尊敬する人物は誰ですか」という問いに対しても、答えることができないケースも多いようです。私も時々講演を頼まれてお話しすることがありますが、吉田松陰の松下村塾の呼び方を「まつしたそんじゅく」と言われ愕然としました。
また、最近はパソコンやスマホの普及によって活字離れが進み、とりわけ偉人伝や日本の歴史、神話に関する書物が見かけられなくなってきました。私もコロナ禍で外出を自粛し家で過ごすことが多くなったのを好機と受け止め、偉人に関する書物を読みかえしています。この中で、皆さんにお勧めしたいのが、「致知出版社」の『日本の偉人100人』です。この本は大人にも子どもにもわかりやすく偉人伝を語るという趣旨で発刊されました。著者は企業から幼稚園までを対象に幅広く寺子屋講演事業を展開している「株式会社寺子屋モデル」の代表の2名が中心となり、43名の執筆協力者によって編集されています。昭和・大正時代からさかのぼり明治・幕末・江戸・中世・古代にわたって、世界が称賛する100人の偉人が紹介されています。これらの人の共通点は、自分よりも他人や世の中、国のために人生をささげた〝高い志を有する〟人達です。機会があれば是非紐解いてみてください。
(文責 中尾 直史)