豊かな人生を送っていくためのペースは人間としての根っこを育てることです。そのためには実際に社会で貢献されている人の話を直接聞くことが最も効果的ですが、そのような人が見あたらない場合にはどうすればよいのでしょうか。
かつて、松下電器の先輩の方から、松下幸之助翁が〝君と僕とではどちらが優秀だと思うか〟という質問をされて返答に窮したという話を聞きました。突然のことで、黙っていると、〝君は僕の方が優秀だという顔をしているが、それは違うな。君の方が僕より優秀であって大きな仕事ができるのは間違いない。何故なら君はこれまで先人が色々と思い悩んで解決してきたことを学んだ上で、自らの創意工夫を加えることができるからだ〟と言われたようです。
日本には世の中に大きな影響を与えた人物が数多くおられます。私もこれまでこれらの偉人についての著書を紐解いてきましたが、松下翁の経営や人生に対する考え方の中には、これらの先人の教えが随所に含まれていることが分かってきました。
そして、偉人と言われる人は人生の中で例外なく筆舌に尽くせない艱難(かんなん)に遭遇し、これを懸命な努力で克服してこられています。なんの苦労もなく順風満帆な人生を送ってきた人は一人もいません。
現在はカオスの時代と言われており、ともすると自己中心的な考え方に陥りがちですが、このような時にこそ偉人の生きざまを学び充実した人生を送っていくことが大切であると思っています。これから日本の偉人について順次取り上げていきますので、参考にしてください。
(文責 中尾 直史)