日本は国際競争力の急落に加え、近年生産人口が減少してきた結果、さまざまな分野で人手不足という状況に陥り、仕事に支障をきたすようになってきました。このため、多くの企業では最優先課題として人の確保を掲げ、積極的な採用を進めてきています。
かつて松下電器(現、パナソニック)の創業者である松下幸之助氏は〝企業は人なり〟という有名な言葉を残されています。
ある時、得意先の方から「松下電器は何を作る会社ですか?」という問いかけに、社員が「電気器具を製造販売する会社です」と答えたという話を耳にして、何故「松下電器は人を作る会社です。併せて電気器具を作っています」と答えなかったのかと言われたという有名なエピソードがあります。まさに〝人の働きが経営の良否を左右する。そのためには人材の育成が不可欠である。〟ということを確信しておられたのです。
最近、企業の業績には大きな格差が出てきており、大きく成長している企業と業績が低迷している企業との二極化の傾向が顕著になってきていますが、突き詰めて考えると人の働きに大きな差があるということではないかと思います。これは企業に限ったことではなく、経営という視点で見れば学校や病院、地方公共団体、国でも同様です。そして、人の働きを高めるには世の中の変化を先取りし、思い切って現状の枠組みを改革し、構成員の意識改革をはかることにより、生産性を高めていくことが不可欠です。まさに、従来の延長線での取り組みから脱却するチャンスであると前向きに受け止めたいものです
(文責 中尾直史)