スイスに拠点を置く国際経営開発研究所(MID)が発表する「世界競争ランキング2023年」によると、対象となる64か国中、日本は前回の34位から一つランクを下げ過去最低の35位ということになりました。
1991年に世界1位であったことを考えると、この30年間の凋落ぶりは目を覆いたくなる状況です。順位が上位の国を挙げるとデンマーク、スイス、シンガポール、スウェーデン、香港、オランダ、台湾、フィンランド、ノルウェー、アメリカ・・・等になります。
また、アジア・太平洋地域の中でも日本は17か国中12位となっており、マレーシア、タイ、インドネシアといった新興国に対しても後塵を拝する結果となっています。
このランキングは「インフラ」「経済パフォーマンス」「政府の効率性」「経営の効率性」という切り口をもとに算出されていますが、日本の課題は政府の効率性や経営の効率性が極めて低いということです。わかりやすく言えば現状に甘んじて、政府も企業も打つべき手を打ってこなかったということですが、これは政治家や企業の経営者だけではなく、すべての国民の危機意識と自立心の欠如が原因であると思います。
そして、日本はこの失われた30年間に少子高齢化の進展、生産年齢人口の減少、実質賃金の低迷、国の借金の増大といった状況に陥ってしまいました。
このまま放置していれば、日本はますます衰退していくことは避けられませんが、今はさまざまな分野において大きな変化の兆しが現れてきています。
〝変化はチャンス〟という言葉がありますが、勇気をもって改革していくことで道が開けるのではないかと思っています。(文責 中尾直史)
「日本の国際競争力の推移」