寄り添う生活を取り戻す

 能登半島地震からまもなく3か月が経ちますが、被災された方の中にはまだ避難生活を送っておられる方も数多くおられます。
また、ウクライナやガザ地区に住んでいる人達も戦禍で身近な人たちが亡くなり、悲しみの中で厳しい生活を余儀なくされています。我が国の歴史を振り返っても、太平洋戦争後の人々の生活は食べる物にも事欠くような悲惨な状況でした。このような中にあって、人々は相手の立場を理解し尊重することによってお互いに助け合ってきました。まさに、相手の気持ちに寄り添う生活を続けていたと言えます。
しかし、経済が発展し生活が向上するにつれて、都市に人口が集中し、核家族化が進み、個人の生活が主体になってきました。これと共に相手の立場を尊重するというより、自己中心の考え方が強くなってきたように感じます。
そして、この傾向が行き過ぎた結果〝他人のことより自分さえ良ければ〟という利己主義の人が増え、利他という言葉が死語になってしまいました。
 近年は、コロナをはじめとする感染症や災害等が頻発し、国内外の政治や経済状況も不安定になりつつあり、いつ何時生活に影響を及ぼすことになりかねません。この結果、耐乏生活を強いられることも出てくると思います。
このような中で人々が欲するのはボランティア活動をはじめ純粋に気持ちに寄り添う人の存在ではないでしょうか。また、これら以外にも自分一人で悩んでいる人達も多くいます。今一度、寄り添う生活を取り戻したいものです。
(文責 中尾直史)

2024年03月21日