以前にも取り上げましたが、京都大学の名誉教授で西洋史学者の会田雄次氏は常々学生達に向かって「戦前の教育を受けていない君達がやがて日本のリーダーになる時代が来るが、その時が心配である」という言葉を投げかけておられたようです。
この根拠は戦後のGHQ*による憲法の改正をはじめ政財界の主要な人物の公職追放、財閥の解体、農地解放等の占領政策です。ひと口に言うと日本が二度と歯向かわないように弱体化させるということが主眼でした。また、教育の抜本的改革を行いましたが、この柱となるのが「歴史教育」「宗教教育」「道徳教育」の廃止です。
これらはすべて日本民族の精神的な支柱となっていたものですが、教育改革によって日本人が長年培ってきた立志や公の心といったものが骨抜きにされてしまったと言っても過言ではありません。
現在、戦前の教育を受けた人はほとんどいなくなり、政治家や企業をはじめ主要な団体のトップも、ほとんどが戦後生まれの人達になってしまいましたが、最近の言動を見ると、リーダーとしての資質に疑問符のつくケースが散見されます。
また、政治や経済の混迷、マスコミや教育の混乱、企業の不正、詐欺や凶悪犯罪等の増加等についても突き詰めるとすべて人の劣化が原因です。
これらの問題を対症療法的に解決しようとしてもモグラ叩きになってしまい根本的な解決にはなりません。今一度、総力を結集して日本人の精神を取り戻す取り組みが必要なのではないでしょうか。 (文責 中尾直史)
*GHQ: 連合国が敗戦した日本を占領するために立ち上げた組織