人間力を有する人物の育成

コロナ禍もようやく下火になり、数多くの外国からの観光客が我が国を訪れ、日本の文化や景色に触れ、概ね好感を持って受け止められているようです。このような状況下にあって、外国の方から〝日本はどういう国ですか?〟〝日本人はどういう民族ですか?〟と質問された時にどのように答えるでしょうか?
 少し前までなら〝太平洋戦争における敗戦から奇跡的な復興を遂げた世界第2位のGDPを有する経済大国〟という表現で良かったと思いますが、GDPはドイツにも抜かれ世界4位に、IMDによる国際競争力のランキングにおいても調査対象の63か国中34位と低迷し、賃金の水準も低位になっており、かつての栄光からは目も当てられない状況になっています。
 そして、最近は政治をめぐる金、さまざまな企業の偽装、詐欺行為、暴力やいじめ、ハラスメント、マナーの低下といった憂慮すべき事象が現出してきています。
何故、このような倫理・道徳観や公共精神の欠如といった社会的規範の崩壊が顕著になってきたのでしょうか。
これまでも再三触れてきていますが、突き詰めると日本人としての最大の美徳であった「誇り」「志」「恩」「感謝」といったものが欠如し、心の空洞化が起こっているからです。
閉塞状態にある日本を立て直すためには、明治維新や戦後の復興期を牽引したような強いリーダーシップを有する人間が必要です。高度な専門知識や技能だけではなくこれらのベースとなる人間力を有する〝人物〟を数多く育てていかなければなりません。
しかし、このような人物の育成には多くの時間と労力が必要となるため、幼少の頃からの教育が重要です。学校だけに任せるのではなく、家庭や社会を含め総がかりで取り組んでいくことが何よりも大切であると思っています。
(文責 中尾直史)

2024年02月11日