現在、世界各国で用いられているグレゴリオ暦では、新年のスタートは一月一日になっていますが、かつて日本で使われていた旧暦では立春から新しい年が始まることになっていました。
つまり、立春は旧暦では元旦ということになります。今年いただいた年賀状の中にも〝初春〟〝迎春〟〝新春〟〝慶春〟と言った「春」を使った言葉が数多く見られましたが、この名残です。
旧暦では一年を二十四等分して、その区切りと区切られた期間(約半月間)を節気と呼んでいました。そして、季節の移ろいを気象や動植物の成長や動きに託して表していました。正確には立春というのは二月四日から二月十八日までの期間のことを指し、〝春の気立つ、東風(こち)凍を解く〟と表されています。
寒さが和らいだので戸外に出ると、いつの間にか薔薇や椿、牡丹、花梨、フキノトウ等の芽が膨らみ、多くの生き物が少しずつ動き始めるようになってきたようです。これらを見ても春夏秋冬という四季がある日本では、立春から新年が始まる方が季節感に合つているように感じます。
多くの企業をはじめ国や地方公共団体、学校等においては年度末まで残り二か月になりました。これからの二カ月は今期の反省をしっかり行うと共に、来期以降の計画を立てる大切な時期になりますが、これは個人においても同様です。
立春を迎え、新たな気持ちで生活していきたいものです。
(文責 中尾直史)