日本の伝統精神を取り戻す

日本は〝失われた30年〟と言われるように、少子高齢化が進行する中で、経済は低迷し、国としての躍動感や活気が失われてきています。かつての高度成長期には多くの人々が〝頑張れば将来は明るい〟という思いで自分なりの夢や希望を持っていたようですが、今は残念なことに国全体が〝閉塞状態〟の中にあるように感じます。
この大きな原因の一つは、自分のことや身近なことしか考えない人が増えてきているからです。言い換えると、国全体のことや次世代の人々のことを考える人が少なくなってきているのです。そして、自ら行動しないで誰かがやってくれるのを待つという受け身の姿勢が目立ちます。これではこの難局を打破していくことはできないのではないでしょうか。
歴史を紐解いてみると、日本にもさまざまな苦難の時期がありました。とりわけ欧米の列強国に開国を迫られた幕末や太平洋戦争での敗戦後は筆舌に尽くしがたい時代であったのは間違いありません。しかし、日本はこれらの苦難期を乗り切ってきました。その原動力となったのは「志」「気概」「誇り」「道徳」といった日本の伝統精神をしっかりと身につけているリーダーでした。
そして、これらの人達に導かれた一般大衆も〝お天道様が見ている〟〝嘘をつくな〟〝人様に迷惑をかけることはするな〟といった言葉に代表されるように、人が人として健全に生きていくための基本の考え方が身についていました。
今の日本を見ると、人間としての土台、つまり〝根っこの部分〟の弱体化が顕著になっていますが、この原因は自分を磨くための教育や躾が家庭や学校、社会からも消えてしまったからです。
私もこれまでの反省に立って、これから人間力を高めるために何をなすべきかを模索していきたいと思っています。
(文責 中尾直史)

2024年01月22日