はじめに
気温の上昇と共に色とりどりの花が咲き始め野山の新緑が一際目に染みる好季節を迎えました。これらの美しい景色を窓越しに眺めながら、温かい太陽の光が差し込む部屋で家族や友人達と団らんしているのは実にほほえましい光景です。
日本は太平洋戦争の敗戦によるどん底から人々の懸命な努力によって奇跡の復興を遂げ、国民の生活レベルも飛躍的に向上しました。教育や医療等のレベルも高く、治安も比較的安定し、四つの季節がそれぞれ異なる趣を奏でる日本は全世界の人達から見ると恵まれた環境にあるのは間違いありません。
しかし、最近はどことなく多くの面において陰りが生じてきているように感じる人が増えてきているのではないでしょうか。更に世界における紛争の激化やコロナ禍、自然災害の増加等がこれに輪をかけることになりました。この結果、とりわけ子どもや若い人達の間に閉塞感が漂い将来に対する希望が失われ元気がなくなりつつあるのは心配です。
かつて薬師寺の管長であった高田好胤氏は日本の高度成長期に“このままでは日本は物が栄えて心が滅ぶ”と警鐘を鳴らされましたが、まさにこの言葉が現実になりつつあります。
このような憂慮すべき状況を打破するために大切なのは今一度心の豊かさを取り戻すことではないでしょうか。そのための特効薬はありませんが、何よりも一人ひとりが自分の周囲に対して心温まる言動をとることではないかと思います。小さな(さざ)波であっても集まると大きなうねりになって世の中を変えることは可能です。
今回、温かい日差しが差し込むという期待を込めて「陽だまりの部屋」という名前のブログを掲載することにしました。そして、この部屋からさまざまな明るい話題をお伝えしていきたいと思っています。 ≪文責 中尾直史≫